2018年07月20日

「鳴き声の理解」の彼方への思い。

ヤマガラはいろいろな鳴き声を出す。特徴的な声が多いものの、シジュウカラの声と混同することもあり、整理してみるつもりで音源に当たってみた。声紋を確認していくと、いくつかパターンが見えたので簡単にまとめてみる。

さえずりは文字にすると、「ツツピー、ツツピー、ツツ」の繰り返しになるが、ツツの音程に二種類、ピーの音の変化に三種類あることがわかった。

■導入のツツ音節の音程の違い
 後節のツツより低い
 後節の音程と同じ

■ピー音節の音程の違い
 音が高くなっていく
 ほぼ平坦
 音が下がっていく

ヤマガラの声紋比較3.bmp

この組み合わせ方はいろいろで、規則性は当然のことながら、まだ理解できていない。それと、こうして並べてみると、音域に違いがあるし、ツツ音節には音の濁り方にも種類がある。

「ニーニーニー」と表現される地鳴きにも、どうやら、対人間警戒系と種間威嚇によって濁り方に違いが見受けられる。とするならば、ひとくくりにされる「さえずり」も、音の要素によって、それぞれ意味をもたせているはずだ。興奮気味に鳴くさえずりを聞くと常々感じるが、さえずりに見せかけておいて、じつは警戒系であるなど、人間の解釈とは別の面の意味を帯びる信号として発していることもあり得る。

音を文字に変換してしまうとシンプルになってしまうが、質感を視覚化してみれば、新たな発見に出会うことが多い。そしてその複雑さに改めて驚かされる。
鳥たちは、音の高低、重ね方、長さなどを複雑に組み合わせてそれぞれの意味をもたせているはずで、人間が思っている以上に、声によって親密な意思疎通を図っていると思われる。

いつか、その意味を正確に理解できる日が来るのだろうか。「こっちにこないで」、「その木切らないで」など言われたら、人間の、鳥や自然への接し方も変わっていくのにと思う。





posted by t at 00:00| 興味

2018年06月22日

音符でさえずるキビタキ。

声紋を開いてめっちゃびっくり。
八分音符で音楽を奏でているキビタキでした。
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実際の音声はというと…。温存します。悪しからず。

2018年5月26日栃木県那須塩原市


posted by t at 22:32| 録音行

2018年05月30日

信仰の山と集落のはざま。

標高600mほど。大規模な植林のはざま、集落裏にわずかに広葉樹林が残っている。

ニホンジカ、イノシシなどの獣もいないようで、林床の植生が保たれている。
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トチバニンジン。

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エンレイソウ。

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ウスバサイシン。

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花後のショウジョウバカマ。

あるいは、
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コアジサイ。

いずれも、かつて親しんだ植物たち。

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クロヒカゲもめっきり出会わなくなった。そんなことに、改めて気づく。

日没前、林のなかの小径でマムシに出会う。
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傍らにはサイハイランが咲く。
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イカル、キビタキ、ホトトギスの声が暗い林のなかに響く。
サンコウチョウの雄が追いかけあいをしている。

林道の先で、ノスリが逃げていく。

夜間はフクロウ、ムササビの声もしていたようだ。

さまざまな命を包みこんでいる。いい林に、また巡り合えた。




posted by t at 00:00| 録音行

2018年05月16日

センダイムシクイのもうひとつの警戒声。 〜謎声を自分で解決したという話〜

先日、とある沢沿いを歩いたときのこと。
一帯は、古くは入会地で、現在は地域の財産共有区となっている。イヌブナ、クマシデの仲間、チドリノキなどが生える太平洋側っぽい広葉樹林と、ヒノキ、スギ、カラマツなどの植林がモザイク状に入り混じっている。標高は800m強。

樹冠域の下が広く開けている林内を歩いていると、前方で鳴く声に体が自然に反応し、歩みを止める。

最初はモズのキキキという地鳴きなのかと思ったが、どうやら聞きなれない声。

とりあえず数声録音し、枝から枝に移っていく姿も見えていたので双眼鏡で確認した。見上げるかたちになってしまっているので、ほとんど下面しか見えなかったが、雨覆の先端に淡色があり、それが翼面に帯になって見える。脇腹周辺は淡い黄色をしていた。
続けて観察、録音をしていると、姿は見えなくなってしまったものの、その鳥がいるあたりでセンダイムシクイの声がするようになった。謎声の主がセンムシだったのか、あるいは同じムシクイ類として群れになっていたのか。

姿の特徴を記憶にとどめ、渡り途中のムシクイ系を含めて、雨覆が特徴的な種の声を、図鑑、あるいはXENO-CANTOであたってみるが、ない。
(それにしても、いつのまにやらムシクイ系の国内記録種が増えていること増えていること。ややこしくしてくれる)

最近、行動予定を組み立てるために、過去の録音データの確認作業をすることにしているが、後日、その作業のなかで似た声を発見した。

栃木県日光市某所標高750mほどのところ、植林地のなかの広葉樹林内で5月30日に放置録音したなかにあった。(録音した当時はこれを謎声として拾う意識がなかった)



PCM-D50(ソニー)+CS-10EM(ローランド)で録音
アドビ・オーディションで2500Hz以下のノイズを削除。-12dBにノーマライズ。112kbps/mp3/モノラル変換。


この謎声のあいだに、センダイムシクイのさえずりが混じる。ほかの部分でもやはり、センダイムシクイのさえずりのあいだに同様の声が入っていた。その声は、機材回収の直前に入っていたので、あるいはこの時期特有の警戒系の意味なのかもしれない。

先日、録音した謎声はこれ。



PCM-D100(ソニー)で録音
アドビ・オーディションで3000Hz以下のノイズを削除。-12dBにノーマライズ。112kbps/mp3/モノラル変換。


若干、音の高さが違うがよく似ている。

ということは、観察したとおり、声の主はセンダイムシクイでよかったように思う。ふだん、あまり人がいない場所に突如現れた自分に対しての、やはり警戒系の鳴き方だったのではないだろうか。センダイムシクイにはもうひとつ、警戒のための違う声がある。意味がどう違うかは、今後の課題となる。






posted by t at 00:00| 録音行

2018年05月08日

TASCAM DR-07 MarkUJJ と ローランド CS-10EM の組み合わせ結果。

放置録音にはヤマハ POCKETRAK W24、ソニーPCM-D50+ローランドCS-10EM(バイノーラル)、TASCAM DR-07 MarkUJJ の三台体制で行っているが、今期、PCM-D50を忘れてしまうことがすでに一回あったにも関わらず、今回もまた忘れてしまった。各セッティングごとに、電池、鍵、注意書きの掲示メモ、など、装備が増えてしまっているため。

タスカムDR-07は、音質がいいものの、ダイナミックレンジがソニーPCM-D50よりも狭いので、優先度が下がっている。しかし、プラグインパワー機能があるので、そのうちCS-10EMバイノーラルマイクとの相性をテストしようと思っていた。今季狙っているフィールドは、水田周りの場所が多く、今時期はアマガエル、シュレーゲルアオガエルの声が賑やか。DR-07は音量が控えめになるぶん、カエルのノイジーな大合唱も抑えめになるかと思い、CS-10EMバイノーラルマイクと、初めて、つなげて使ってみることにした。

場所は、丘陵地の縁にできた小さな湿地。小高い丘にひっそりと挟まれて、いい感じなので昨年から目をつけていた。平地にあるにも関わらず、ミズゴケが生えている。
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録音結果のサンプル。

TASCAM DR-07 MarkUJJ(バッテリーパック BP-6AA で稼働)+ローランド CS-10EM(自作ダミーヘッドに装着)
録音レベル 90(最大)/48kHz/16bit/wave(.wav)
フェードイン、フェードアウト加工のみ。録音レベル、ノイズとも生データのまま。
湿地を見下ろす高台の斜面に置いて録音。


普段使っているソニー PCM-D50+ローランド CS-10EMのセッティングの音サンプルは、ここなど。
全域にかかるバックグラウンドノイズが、やはりDR-07はおさえめになるので、クリアに聞こえる。
近くで鳴くヒヨドリなどはとても自然に聞こえる。遠くで鳴いているハシボソガラスも自然な感じに拾えているが、それよりも声がかぼそいオオルリなどの声はやはり弱い。PCM-D50は望遠ズームレンズ的な使い方ができるが、DR-07の場合、単焦点マクロレンズ的な使い方があいそうだ。


posted by t at 18:00| 録音グッズ