NINJA TOOLS

2019年07月03日

境界線上のツキノワグマ 2019

ふと、窓の外を見る。
お前なあ、と嘆息。
こんなところにツキノワグマが出てきている。

圧倒的に自分が優位なので、人間の存在を知らしめ森の奥に行ってほしく、手を叩いて追い払う。体長(頭頂からしっぽまで)は、1m強あった。

まずい。
すでにこれより前に、周囲での目撃情報が出回ってしまっている。
ツキノワグマは、おそらく、あれを目当てに出てきてしまっている。彼奴は警戒の仕方も薄い。

頻度、警戒心の有無を確かめるべく、そばに感応式カメラを仕掛ける。




そのデータを確認しに行く。
背後でガサゴソしている。まあ、近所の庭のイヌか、それでなければニホンザルだろな、と思って作業を続けていると、違和感を覚える。
振り返ると、ツキノワグマ。orz

かわいいと思えるほど。体長1mない。コヤツとはそれ相応の駆け引きをして凌ぐ。
ということは、この近辺に2頭のクマがいる。

この出来事の数日前、同じ場所で、夜間に激しく鳴きあう獣系の声を録音した。そのときは何者か理解できなかったが、上記の出現の仕方、あるいはその声の強さでいうと、クマだったのだろう。ニホンザルではなく。
この2頭の牽制のしあいだったと思われる。

その後の人間側の反応なども見ているが、それは書かない。

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感応式カメラに写っていた、小さいほうのツキノワグマ。




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2019年06月25日

反対側の季節を歩く。やがてくる季節を思う。

雨続きで感覚がなまってしまう。雲の動きを予報で見ると、冬から早春にかけて通いつめているフィールドあたりに、うまく切れ間ができるようだ。

クスサンの幼虫が大発生している。冬に蛹の抜け殻をよく見るが、いまの季節はこういう姿なのか。
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早春に見ているヤナギの花も、少なくとも2種類以上を混同していたことがわかる。
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リス、ネズミなどの冬の食べ物となるオニグルミは、そうそうに結実している。
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テリハノイバラ。雨露に濡れる姿が美しい。毎年見入る。秋の葉も美しい。
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ネムノキも夏に向けて蕾を育てている。
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クロウメモドキ。冬に残された実だけ見ていて正体がずっとつかめずにいた木。
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ミズキもそうそうに実をつけている。と思って写真に録っておいて、こうしてみてみると、クスサンがその葉を食べている。悪食っぷりがわかる。
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クロマダラカゲロウ系かな。
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テレストリアル系がメインになる夏を前にして、この時期は濃い茶系統のメイフライ系の毛鉤を夜更かしして結んでいたことを思い出す。

ウツボグサに止まるオオチャバネセセリ。
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ツマグロキチョウ。かろうじてまだ食草が残っているのだろう。
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ルリシジミが、雨雲のあいだから差すわずかな日を浴びて、体を温めていた。
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2019年06月11日

林相と鳥の鳴き声の関係。

昨年見つけた森。
ヘッドランプを付けて夜明け前に入っていく。
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薄明の空を飛行機が雲を引いて飛んでいく。
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前日の雨が森を潤している。
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ミソサザイ、コマドリ、ウグイスなど、林床や笹藪に巣を作る鳥たちの声も多く、安心する。
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コメツガ、モミ類、シラビソ類、ネズコ、アスナロなどの針葉樹が散見されるが、どこまで登っても、それらによる純粋な針葉樹林にはならない。ツツジ類、ダケカンバやミズナラ、あるいはコシアブラさえ交じる。

登山道をゆっくりと進んでいくと、一定の間隔でエゾムシクイのさえずりが聞かれる。この分布の仕方も独特かもしれない。

シロヤシオ、アズマシャクナゲの花はすでに晩期に入っている。
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サラサドウダンにはまだ早いようだ。

五枚ずつ開くシロヤシオのひし形の葉は、モザイク模様のように連なり、その形の意味を教えてくれる。
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森の切れ間から山並みを眺める。下界は低い雲に覆われているだろう。
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針葉樹の葉が込み入った枝先をコガラ、ヒガラが飛び交い、それぞれがさえずっている。



やがて聞き慣れない声。
さえずる速さはヒガラだが、音質はコガラ。ヒガラのさえずりを取り入れて鳴くコガラということか?


ソニー PCM-D100 録音レベル7.0くらい
48kHz/wave/16bit/手持ち
2000Hz以下のノイズを削除(アドビ・オーディション)
雨露によるクリックノイズを手動で低減。
フェード加工
96kbps/44.1kHz/mp3に変換
背景にクロジ、エゾムシクイ、オオルリ、ウグイスなどが鳴いている


広葉樹系の森林にいるコガラと、針葉樹系の樹々の枝先にまぎれて暮らすヒガラだが、この森のなかで、繁殖期のカラ類が共通して好むある環境をめぐって牽制しあう状況が生まれ、互いのなわばり主張を聞いているうちに似通ってしまったということか。

独特の林相を象徴する鳴き方と言える。







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2019年05月27日

ユーラシア大陸北部で繁殖する小鳥たちの声をどう聞くか。

ヘッドランプを忘れてしまった。 orz
本当は、夜明け前から登り始めて、夜明けのいい時間のころに稜線に近づいていたかった。

運転中に気づいてしまって、現地着。ツキノワグマはこんなところで出会うはずもないが、足元がおぼつかないのはどうしようもない。諦めて夜明けを車中で仮眠して過ごす。ヨタカの声が今日も近いようだが、昨年も録ったし、風も強いのでいいや。

薄明るくなってきてから出発。
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薄明のなかのナナカマドのシルエット。

早歩きで進む。ヒトはまだ数組程度。

ハイマツの生える尾根の先でホシガラスが飛んでいく。

しかし、稜線上にお目当ての鳥はいなかった。ハイマツが生えているのにホオジロ、ヒヨドリさえいる。標高の低さはどうしようもないということに気付かされる。

ミネザクラの咲く尾根を進んでいく。
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ほかにも
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ナナカマドの新芽。

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オオカメノキの新芽など見れてうれしい。


やがてメボソムシクイのような、違うような声がする。

ソニー PCM-D100 録音レベル6.5くらい
48kHz/wave/16bit/手持ち
1000Hz以下のノイズを削除(アドビ・オーディション)
フェード加工
96kbps/44.1kHz/モノラル/mp3に変換


この山は一部を除いて亜高山帯といわれるコメツガ、シラビソ類などの針葉樹林帯がなく、ダケカンバなどの標高の高いところに生える広葉樹の帯域の上はすぐ低木帯になってしまう。


ミネザクラの低木の林のなかはたくさんの羽虫が飛び交っている。くだんの鳥は、突出した樹冠部に出てその虫などを食べている。
眉斑が淡く、雨覆の先端も同様に淡いムシクイ類のいずれか。

この系統の鳥はまったくもって苦手だが、手持ちのCD図鑑やネット上のサイトを開いて声を聞いてみてメボソムシクイではない可能性に気付かされる。そしてコムシクイ(Phylloscopus borealis borealis)の可能性を示唆していただいた。

ムシクイ類の声を連ねて聞いてみて感じたのは、整理のしようによっては段階的に並べることさえ可能ではないかと思うくらい、少しずつそれぞれが違う。

あるムシクイ類は、同一の越冬地で過ごすものの、一亜種はユーラシア大陸の西へ、他方はその東へ渡っていって、分化の途中かもしれないというようなことを本で読んだことがある。

今回見つけたムシクイ類は針葉樹林帯で暮らすメボソムシクイとは違う環境にいた。コムシクイの生息環境を図鑑で調べると、ツンドラ・タイガの林縁などで繁殖するらしい。稜線の森林限界の環境はそれに似ているのかもしれない。

この日、稜線上で同じように、ウソの声を録音した。冬季に聞く声より、濁って低く鳴く。それでも、蒲谷先生の録音した、さえずりとされる声とは異なる。音の重ね方も違う。

ウソも、アカウソ、ベニバラウソ、など外見上で段階的に異なる亜種が存在する。それぞれユーラシア大陸東西にわたってその北部で繁殖するという傾向もムシクイ類に似ている。さえずりを正確に調べていけば、ムシクイ類同様、もっと細かな亜種や段階的な種などが判明するや? 流行りの遺伝子レベルの解析はどうなのだろうか。







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2019年05月23日

馬頭観音の見守る林にて。

車中泊して標高1000m超えの某草原に。しかし平野から吹き上がる風が夜中止まらず、しかも霧雨のまま。

久々に聞いた、夜明けのマミジロの声に満足し、山を降りる。

いつもの某集落奥の林へ。

山道を登っていくと、一角に馬頭観音が数基、残されている。道筋に埋もれてしまった石像を一箇所にまとめたように見受ける。

そのうちのひとつに猪が刻まれていることに気づいた。嘉永四年の文字が読める。黒船来航の二年前だ。干支を調べてみると亥。
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いまとなっては人との関わりも薄くなった馬の霊を静かに慰め、そして集落を見守っている。

林の一角にカラス類の死骸があった。風切羽の根元はまだ鞘のままだ。襲われたのは巣立ち前後の幼鳥だろう。赤身がつく細い骨とともに、小さい爪も残されている。
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周辺で観察される猛禽といえば、ノスリ、もしくはフクロウ。それらのうちのいずれかの仕業だろう。







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