NINJA TOOLS

2019年08月18日

さよならの唄。

8月に入り、南洋には台風が続々と生まれていた。

今季、窓のすぐそばにソングポストを構えた彼の歌声は、夜明けにまどろみながら、そして日没には変化していく空の色とともに、日々、心和ませてくれた。

路肩で食べ物を集めては、林の奥に消えていく。そんな姿も、たびたび目にしていた。

離れてなわばりをかまえていた別のクロツグミは、早々にさえずることをやめている。

彼も、夜明けに鳴かなくなっていた。日が上ってから、思い出したようにおだやかに鳴く。ときには、夕刻、ヒグラシとともに。

それも徐々に少なくなる。これが今季、最後かもしれない。そんな寂しさを、声を聞くたびに感じるようになる。

朝日が部屋に差し込む時間もだいぶ遅くなった。彼が歌い始めた。録音機を引っ張り出す。8月15日。


最後のさえずり。

いまは、南への旅立ちに向けて、一息ついているというところだろうか。やがて、どんな旅をしていくのだろう。








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2019年08月13日

センダイムシクイのさえずりの季節変化?

今季、家の前にいたセンダイムシクイは、さえずり方が特徴的で、通常、チヨチヨチヨチヨビーと、最後に濁った音をつけるはずが、つけない鳴き方を多くしていた。

林層のなかで似たような位置にいるキビタキ、ウグイス、ヒガラ、シジュウカラなども鳴き方は多様であり、センダイムシクイについても、各々の変化のひとつなのかな、と、個人的には感じていた。それが彼の自己主張の仕方かもしれない。

しかし、逆に変則的な鳴き方は妙に耳につく。

彼は8月上旬まで鳴き続けていた。この時期、ヒガラ、ヤマガラ、メジロなどが群れを作り始めていて、通過していく群れのなかのヒガラのさえずりに刺激を受けてか、いっしょに鳴くことも多かった。

さらに、隣接する区画になわばりを構えていたクロツグミも8月中旬までさえずっていて、彼がさえずり始めるとセンダイムシクイもさえずることがあった。

そこで7月末から8月にかけて、なんとなく感じるようになったのは、このセンダイムシクイの節の奏で方が多様化しているようなところ。

まず彼は、キビタキ、クロツグミよりもさえずりを始める時期が遅かったように思う。

6月に入って、妙に耳につくようになって、そのころ録音したのが以下のファイル。
190601_017.gif
@〜は「チヨチヨチヨチヨ」だけの鳴き方の部分の数。数字以外は末尾に「ビー」音あり。
(↓続き)
190601_017_2.gif


さえずりも徐々に少なくなってきて、しかし割合、まだよく鳴き声を聞くことができていた8月上旬の声が以下。
190808_001.gif
これも@〜は「チヨチヨチヨチヨ」だけの鳴き方の部分の数。数字以外は末尾に「ビー」音あり。
(↓続き)
190808_001_2.gif

客観的データの集め方、比較の仕方などまったくもって知らない。
6月のときは近くにイカルがいて、8月のときはヤマガラがいることが声紋上、読み取れる。
よって、他の鳥への牽制、警戒の意味の違いもあるかもしれない。
前提がまったく異なっているということを置き去りにしつつ、ざっくりとした主観で以下のようなことを感じた

●時間あたりの鳴く回数が6月のほうが多い。

●基本形「チヨチヨチヨチヨ」の鳴き方に対し、8月のほうが末尾に「ビー」音をつけること、しかも高い声で鳴いている割合が多い。

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録音は家のなか、網戸越しに行っている。
それぞれ数分鳴き続けているところを録音し、その一部の声紋。
グラフ(声紋表示)上の、横軸(時間)、縦軸(周波数)は同じ尺度。
2本の点線は、音の高さを比較するための目安。
声紋の縦の幅の違いは、鳥との距離が異なり、高音域の捉え方が異なるため。
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後者の点から、鳴き方が多様化しているように感じるようになったと思う。

季節とともに進む自身の成熟によって、さえずりの変化型を身に着けていく、というようなことなのかな、と推測する。

同時に、すでに先行して巣立っていた幼鳥たちがまわりにいるはずで、彼らはこれらの変化型の作り方を頭のなかに刷り込むことができたはず。

彼らは、そんなふうにして、世代を越えてさえずりを紡いでいるのでは、と。








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2019年08月07日

カワウの声だったのか?

2011年8月下旬に、千葉県盤洲干潟を訪れ、渡ってきているシギやチドリの声を録音した。
この干潟の手前には草原があり、なかに生える数本の木にカワウが集まって営巣していた。

長靴を履いて干潟に入り、遠くいるキアシシギなどの声を録音していると、背後のコロニーでカワウが盛んに鳴きあっていて、気になってしょうがなくなる。
しかし地形上あまり距離が詰められないので、芳しいデータにはならなかった。

このときの音源を再確認する作業を進めていたところ、ある声が心に引っかかった。
栃木県の北部を流れる中規模河川の河原で放置録音して得た「4月2日 キロロ、キョロ、キョロロ(オオコノハズク?)」(拙サイト「魑魅魍魎の音」より)に似ている。

その声質はムササビやオオコノハズクが出すとされている、キロロ系の「謎声」によく似ている。その河原はいちめん草原であり、録音機材を設置したのは数本のヤナギ類の木の下だった。オオコノハズクは割合、適応能力がある鳥のようなので、夜間に近くの林から飛来していた可能性もあるのかな、とは思っていた。

しかし、この音を聞いて、違う可能性について気付かされた。

盤州干潟のカワウのコロニーでの録音の一部
ソニー PCM-D50 + ローランド CS-10EM / バイノーラル録音
サンプリング周波数48kHz/量子化16bit/無指向性 を ビットレート96kbps/サンプリング周波数44.1kHz/モノラル に変換。


謎声を録音した栃木県の河川は鮎釣りが盛んで、カワウは害鳥扱いとなっている。カワウは近年、頓に警戒心が強くなっていて、近くで声を聞く機会も減っている。以前は数十メートル先の電柱に止まっているところの声なども録音できたほどだ。
個人的にはコロニーのある場所への観察にも最近行ってないので、自力で検証するのが少々難しい。そこでいくつかの音源を確認してみた。野鳥研究組織がウェブで出している音声に、若干似ている声が含まれているようにも聞き取れる。

それらから類推するに、件の「謎声」は、ひと気のなくなった河原の傍ら、あるいはヤナギ類の木にカワウが舞い降りたときに発した声、ということも考えられるようだ。

放置録音をすると 距離を隔ててしまう通常の観察では聞くことができない声がたびたび収録され、困惑させられることが少なくない。何かしらの疑問、発見は、メモなどに書き記して整理しているものの、一個人の「脳みそとそれをサポートしてくれるPC」レベルで記憶、認知、整理するのは難しい。今回のような、ほかの環境での録音を聞き直して気づくという工程は、以前、センダイムシクイやカイツブリでできたことがあるが、実際は、まだまだできていない。





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2019年08月05日

ツバメのねぐらを追う。

この時期は、日没時のツバメのねぐら入りの観察によく赴いていた。当地ではそれらの地ほどの規模のものを見つけられていない。似たような、広大な河川敷、草原はあるのになぜなのだろう。
そんな疑問をいだきつつ、今季、通い続けている河川敷へ。

日が傾くまで、そばの斜面林を歩く。

_MG_5324.JPG
実をつけたコブシの木陰で休むウラギンシジミ。酷暑はチョウたちにもつらそうだ。

クサギの花が開き始めている。
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可愛らしい実を見つけた。ウワミズザクラかな。
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稲は、花の時期が終わり、実を結び始めている。
_MG_5310.JPG

ノシメトンボが田んぼの虫たちを見張っている。
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ススキもすでに穂を開き始めている。
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ノカンゾウ。ヤブカンゾウよりも穏やかな雰囲気に見える。
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ハヤブサが小鳥を足にぶら下げて飛んできて、電柱の上で、ゆっくりと食べ始める。そういえば、大群のツバメのねぐら入りを観察していたとき、同じような光景を目撃したことがある。ねぐらに集まるスズメなどの小鳥の群れを狙っているようだ。

土手を進むと、オオヨシキリの地鳴きが聞こえてくる。
声のもとを探ると、ヨシの草むらのなかにいて、逃げない。双眼鏡で確認すると、上半身は幼羽で、風切羽がまだ伸び切ってない。幼鳥からの換羽中のように見受ける。そばには成鳥がいて、警戒を強めているようすでもない。ということは、幼鳥の、親鳥に食べ物をねだっている声だろうか。


ソニー PCM-D100 手持ち
オオヨシキリ 幼鳥 リップシンクロ 食べ物をねだる声?
録音ボリューム7.0くらい/サンプリング周波数48kHz/量子化16bit/wave形式/ステレオで録音
Adobeオーディションで低音域のノイズを低減
96kbps/44.1kHz/モノラルに変換
スズメがねぐらに向けて鳴き交わしながら飛んでいく。遠く防災無線が18時を告げる。


人間には歯ぎしりをしているような音に聞こえるが、この鳥にしてみれば、さえずりなども同様の質感であり、甘くつぶやく声に聞こえているのだろう。

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成層圏の下まで上り詰めた積乱雲が、その境に添って雲をたなびかせている。

暗くなってくると、オオヨシキリは従来の警戒系の声で鳴き合い始めた。
草むらの上をコウモリが飛び交い始める。土手の先に、ホンドタヌキが現れ、こちらに気づいてゆっくりと草むらにもどっていく。

結局、草原や田んぼの上を低く飛び交うツバメを見かけることができたものの、ここでも、そのねぐら入りは観察できなかった。
その理由は、草の種類の違いにあるのではないだろうか。当地のほとんどが、ヨシではなく、ススキやツルヨシなど、乾燥した地面に生える植物の群落だ。つまり地面から接近する陸生の天敵を警戒しているのではないだろうか。

そんなことを考えていると、周囲はすっかり日が暮れている。太陽が、赤い光を残して、地球の反対側を照らしに行った。
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2019年07月29日

雷雲に追われて。

レーダーによる雨雲の解析を見つつ、逃げるように東に進む。
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増水した流れに、カイツブリのつがいがいる。物陰から聞いていると、かつてしばらく謎声だった、ピ、ピ、ピルル系の声を出しているので、リップシンクロすべくそっと近づく。しかし、警戒されてか、通常の鳴き交わしの声に変わってしまった。
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そのままじっとしていると、いろいろな生き物が警戒を解いた姿で現れてくる。

カルガモのきょうだい?が、カイツブリ同様、流れに乗りながら食べ物を探しに下ってくる。

下流のほうでは、イカルチドリの群れの声。昨年までの記録によると、クサシギもすでに渡ってきているはず。

対岸でモズやトビが鳴いている。
遠くオオヨシキリもまだ鳴いているようだ。
カジカガエルの声も聞こえる。

そして遠雷が轟く。


ソニー PCM-D100 手持ち
録音レベル7.0/48kHz/16bit
adobe auditonで低音域のグラウンドノイズを軽減。
トビの声の音域を若干レベルアップ。
フェード加工を追加し、mp3に変換(96kbps/44.1kHz)


下流の中洲をのぞいて見ると、やはりクサシギがいる。イカルチドリの群れに紛れて、鳴きながら逃げていく。警戒心がとても強い。

機材を放置する手法で狙える声ではないので、今季も、出会いを重ねていくしかないだろう。それほど珍しい鳥ではないのに、「大先達」が、芳しい録音データを残していないのは、往時の機材の機動性ゆえだと思われる。

だからこそ、現状の課題のひとつである。

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しかし、そうそうに雷雲に追いつかれてしまった。撤退。




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