2018年12月08日

冬の向こうのフモトミズナラを。

すでにほとんどの木が葉を落としてしまっている。もう少し早く気づいていれば。

いつも歩いている場所の多くは、それほど標高がない場所でもミズナラが生えていることは珍しくない。本来の標高位置で生えている種子の、拡散によるものだと思っていた。

その感覚で低山のフィールドも歩いていたので、ミズナラのような木を見ても、特段、違和感はなかった。いっぽうで、それらの木を、両者の違いの最も大きな点である葉柄の長さはさておき、「ミズナラになんだか似たようなコナラ」として混同することも多かった。

さらに標高の低い河畔林などに生えるコナラを見つけると、葉の鋸歯のとがり方などが異なるので混乱することがあった。

長野のフィールドでも、コナラより低い位置に生えるミズナラを見て、違和感を覚えたことがある。

いまさらながら、これらの混乱の原因が認識できるようになった。どうやら、低山のフィールドで多く見ていたのは、ミズナラではなく、コナラのフモトミズナラという亜種のようだ。

これを、コナラと、あるいはやや標高が低めに生えるミズナラと混同していた。よって、本当のコナラを見つけると、必然的に違和感が生じてしまう。この亜種の分布はそれほど広くないため、勘違いも地域特有のものといえるかもしれない

コナラの亜種扱いになっているのは、遺伝子が近いためという。ミズナラとコナラが気温や標高によってそれぞれ棲み分けるようになり、さらにもうひとつ、違う「種」が生まれようとしている。生き物の分布の仕方は、ときとして、地球の寒冷化、温暖化の大変化を超えた、遥かなときの流れを感じさせてくれる。

コナラは葉に毛が多く、新緑のころ遠くから眺めると葉のきらめきで気づくことが多い。亜種フモトミズナラは、それがないようだ。来季に向けて忘れてしまうことのないようにしよう。


標高370m 栃木県高原山塊西麓 11月16日
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鋸歯のとがり方がやわらかく、フモトミズナラの特徴をそなえているように思う。

標高450m 栃木県鬼怒川水系河川敷 11月4日
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コナラ。上のフモトミズナラより標高がある位置に生えていることになる。

標高240m 栃木県鬼怒川水系河川敷 12月3日
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コナラの幼樹は特徴が捉えにくく、混乱させられる。これも、鋸歯のとがり方の甘さ、葉柄の短さなど、判断がつきにくい。

標高240m 栃木県鬼怒川水系河川敷 12月3日
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葉柄が短いがコナラなのだろう。これも特徴が中途半端。

標高230m 栃木県鬼怒川水系河川敷 5月6日
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これぞ典型的なコナラなのだろう。
葉の表面に細かな毛があるので、光の当たり具合によって白っぽく見える特徴もそのもの。








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2018年11月26日

シロザケが上る川へ。-初冬の情景-

先日来、見つけていた鮭たちの遺骸はどうなっているだろう。
流れに降りる。

トビ、カラスなどがありついたようだ。
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肉の部分がきれいにそがれている。
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別の遺骸。その白く残された骨身に、ダイサギの白い羽が流れ着いて重なる。
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浅瀬に横たわるのは、つい先ほどまで泳いでいたかのような魚。鰓はもはや動いていない。額には傷が刻まれている。
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腐敗が先行してから浅瀬に乗り上げた遺骸は、分解されるときを静かに待っている。
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あたりを見渡せば、まだまだ、あちこちの水底に魚体が沈んでいる。


この季節、さまざまな生き物が世代を閉じていく。
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外国から渡ってきた草花も同じだ。
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いずれにも、命を全うする尊さがある。


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2018年11月05日

そしてシロザケの上る川へ。


川のようすも見ておきたい。

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青空と河原のススキたち。

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秋の草原といえばウラナミシジミ。

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テリハノイバラの赤い実。可愛らしい。

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エノコログサ?とカワラハハコ。


そして、これを見に来た。
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この川は常に富栄養化しているので、それに加担しているにすぎないのか。アブラハヤなどの小魚たちが周囲を気ままに泳ぐ。

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富栄養化の象徴ともいえるユスリカ系の虫たちが大量に羽化している。

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対岸で、尾びれを白くした一匹を見つける。この上の瀬を越すことができなかったようだ。
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最後の力を振りしぼって、上流を目指そうとする。しかし。

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ついに、おなかを上にしてしまう。

セグロセキレイが盛んに鳴き合っているが、録音する気にもなれず、シロザケに思いを向ける。
シロザケはそのまま川底で身を横たえた。川辺でひとりそれを見送る。

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2018年10月31日

清棲幸保氏の愛した森。

山間にできた小さな湿地。それを囲む斜面の森の木々や地面に生える草、雰囲気などが、長野で親しんだフィールドによく似ている。
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大きなクリが残されている。

人が多い散策路を離れ、沢を降りて、林の中へ入る。

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メグスリノキ。沢沿いの植林伐採地に残されていた。

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林道はアワブキ街道といっていいくらい、いたるところに生えている。葉には虫の食痕も多く残されていたので、夏に来ればスミナガシがみられるのかもしれない。


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葉筏。

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コシアブラ。この薄い黄緑の透過色が好き。

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ウラジロノキ。これも透過光にすると葉の橙色味が表れて美しい。

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小規模の高低差のあいだにできた窪地に、小さな池がある。両生類も多そうだ。そして谷が狭まり、暗い林もある。下草が茂って隠れる場所ができれば、あの鳥も繁殖できそうな気がする。


この地には、昭和の鳥類学者の清棲幸保氏の別荘があった。氏の足跡をなぞると、そのフィールドを選ぶセンスに、毎々、感銘を受ける。
現在は、ニホンジカの増加によって草花も乏しくなっているが、ここも、往時は鳥にも植物にも恵まれ、いい森だったのだろう。色褪せていく葉たちに囲まれながら、そんなようすに思いを馳せる。




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2018年10月29日

そしてズミの林へ。

じつはこの季節は、春同様に追いかけるテーマが多い。
しかし、春ほど、何かにせかされるような高ぶりもない。深まる季節を静かに見送る楽しみがある。
きょうは冬鳥の到着状況を確認しに、高原のズミ林に向かう。
例年より早めに訪れてみた。アトリやマヒワやイカルの小さな群れが、鳴きながら上空を飛び交う。

鮮やかな木々の紅葉が目にもうれしい。

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レンゲツツジ

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ニガイチゴ

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オオイタヤメイゲツ。葉柄が長いという特徴が最近やっと理解できるようになった。

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ウリハダカエデの幼木。

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実の付き方からするとアブラツツジかな。

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コシアブラの実。アカハラが集まっていた。そのそばでじっとしていると、コガラの群れ。羽音をぱたぱたといわせて、盛んに飛び交う。

ソニー・PCM-D100/サンプリング周波数48kHz/量子化16bit/ファイル形式wave(.wav)→112kbps/16bit/mp3 に変換。
フェイドイン・アウトの加工のみで、増幅、ノイズ削除など無し。

ヒガラ、シジュウカラも混じっている。ヒガラは群れの外側で高い声で鳴き合っていた。シジュウカラとコガラはやはり似た声を出すことがあるようで、そのようすをしばし観察。
帰宅して再生してみても違いを思い出せず、混乱したまま。それは鳥たちの思惑どおりなのかもしれない。




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