NINJA TOOLS

2019年09月06日

モズの夏のはやにえ

マッディ・ウォーターの水辺に対して地元の状況を比較してみたい。中規模河川の河原を歩く。

虫や花たちを見ていると、夏の終わりと秋の気配が混在しているように感じる。
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ヒメアカネ。アキアカネよりも遅い時期に見られる気がする。

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ナンバンギセル。意図的に刈り払われている河原があり、その縁にたくさん生えていた。

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ススキの穂が次つぎに開いていく。

ツバメが電線に集まっている。数はこちらのほうが圧倒的に多いようだ。暖地にいるツバメはすでに渡ってしまっているということだろうか。ここのツバメはどこにねぐら入りしているのだろう。
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ツバメが飛び交う高度より上を、アマツバメが飛んでいく。


河原の枯木にアブラゼミの死骸がひっかかっている。モズのはやにえだろうか。この時期の、こんな生々しいものは初めて見た。
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秋から冬にかけて、この川辺を歩くと、はやにえをよく目にする。

以前は、冬場に向けた貯食のため、などという説も目にしていたが、この時期からあるとなると、やはり違和感を覚える。なわばり宣言のため、というのもちょっと違う気がする。

冬に土手を歩いていて、はやにえを見つけた先でモズが逃げていったことがある。
そのときの行動を見て私なりに考え出したのは、はやにえは「モズの中座からの食べ残し」説。

獲物を捕まえたものの、脚とくちばしだけでついばむのはちょっと難しい。相手がまだ動いていれば、なおさらだ。そこでモズはどこか枝先に引っ掛け、固定してついばむ。

だが、モズも警戒心が強いので、ヒトやほかの動物が近づいてくると逃げるしかない。

そこで置きっぱなしになってしまった獲物が、はやにえとして残る、というもの。

この日、アブラゼミのはやにえを見つけて以降、気にして歩いてみたが、そういえばこの時期、やぶはまだ青々としていて、引っ掛けられるような硬い枝はほとんどない。

あったとしても深いやぶにまみれて、目にすることもできないだろう。

冬枯れの季節になれば、葉が落ちた硬い枝も多くなり、枝を使う機会も増えるはず。また見通しがよくなるので、はやにえもよく見つかるようになる。

はやにえがあるということは、そこになわばりを構えているモズがいることの証でもあるので、間接的には、なわばり宣言になっているということもあると思うが、どうだろうか。


日没後、土手に出てきたノウサギ。
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その可愛らしいイメージとは裏腹に、すごい筋肉質の体つきをしている。






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2019年08月29日

ゴイサギの鳴き声の高さの違い。

そもそもマッディ・ウォーターの水辺に行こうと思ったのは、この時期、同場所で夜明けにおこなった録音を聞き直して、ある疑問、関心が生じたためというのもある。

そのときは日の出前に入り江のヨシ原そばに待機し、録音機を回し始めた。ツバメ、スズメがねぐら立ちし、ゴイサギも出て行く。ゴイサギは今回の日没時同様、盛んに鳴いていて、声質がじつにさまざま。一種類の鳥が出しているとは思えないほどだった。
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(この場所)

ゴイサギの声は、切り出して整理してみるたび、いろいろな高さで鳴いていることが気になっていた。一般的には「クワッ」と鳴く、と表現されるが、この夜明けの録音を聞き直してみても、やはりそれだけではない。

この時期、ここでは幼羽のゴイサギがほとんどだが、幼成の違いなのか、あるいは警戒信号、共鳴、主張など意味があるのか。同じ場所にいるダイサギ、アオサギなどはそれほど高さに変化がないのに、どういうことだろう。そこでリップシンクロした状態で観察、録音しなおそうと思っていた。

この日、ゴイサギは日中、ヨシの水際にじっと佇んでいるばかりで、食べ物を探そうという意欲は感じられない。夜行性のサギとされているが、今回の観察でも、ヨシ原には日没に合わせ、ねぐら入りに集まってきているように感じる。実際、夜明けの録音のほうでは、ここから鳴きながら飛び出して行っている。どういうライフサイクルをしているのか。疑問は膨らむ。

今回録音した、日没時にヨシ原に集まってきているときの鳴き声のデータの一部が以下。すべてゴイサギの声。
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声紋上、色が濃く出ている部分が強く聞こえている部分で、その低い順に番号を振った。そして、切り出して並べ直したのが以下。
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実際の音は以下。(mp3に圧縮し、さらにモノラルに変換してある)


この高低の違いはなんの意味があるのだろうか。個体差や、そのときどきの鳴管の状態の違いなのだろうか。






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2019年08月28日

水辺に恋い焦がれ。

まわりにはオオルリやキビタキなど掃いて捨てるほどいるいっぽう、最近、妙に平地のマッディな水辺が恋しい。

県南の大湿地に行ってみたものの、どうも心が満たされない。

そこで、少々遠いが、かつては毎週のごとく通っていた隣県の汽水湖に、久しぶりに行ってみることにした。

ワンド状になっているヨシ原、休耕地、入り江の広大なヨシ原など、決まって歩いていた場所があって、記憶をたどりながら歩く。
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ここは、通っていた当時、田んぼだった。タゲリの声を狙ったり、付近ではハヤブサどうしが威嚇しあう声なども録音した。オオタカがオオバンを捕まえ、ついばんでいるところなども観察した。

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稲はすでに実りの時期を迎えている。この畦ではコホオアカを見たこともあった。

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よくジョウビタキを見かけていたやぶでは、ノイバラが実をつけている。成熟した実を食べに来ていたということだろうか。

周辺の休耕地は大豆畑になっていたり、乾燥させるようになっていて、シギやチドリなどの気配はまったく無くなっていた。この時期、ツバメチドリの群れなども見かけたことがあった。

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ねぐら入りを前に集まっているスズメ。オオタカの幼鳥がここに突っ込んでいくようすなども観察した。遠く大きな建物が造られ始めている。

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チュウサギの多さは変わっていないようだ。刈り取りが始まった田んぼに集まっている。

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コマツナギ。当時はこういう花に関心が薄かった。

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ヨシが穂を伸ばし始めている。その上を飛んでいくコシアカツバメの姿を見つけ、うれしくなる。そんな気持ちは当時と変わらない。


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日が沈み、風が止まる。
「たそがれが、風を止めて・・・」。
ここで日没時のようすを観察していると、ある唄のそんな歌詞がよく心に浮かんだ。


見かける野鳥たちは少なかったが、場所ごとにいろいろな出会いが思い出されるので、退屈しない。潮風で体じゅうべっとりするが、そんなこともお構いなし。
見ている風景はどこか上の空で、記憶のなかを旅している。そんな不思議な気持ちを味わう。









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2019年08月18日

さよならの唄。

8月に入り、南洋には台風が続々と生まれていた。

今季、窓のすぐそばにソングポストを構えた彼の歌声は、夜明けにまどろみながら、そして日没には変化していく空の色とともに、日々、心和ませてくれた。

路肩で食べ物を集めては、林の奥に消えていく。そんな姿も、たびたび目にしていた。

離れてなわばりをかまえていた別のクロツグミは、早々にさえずることをやめている。

彼も、夜明けに鳴かなくなっていた。日が上ってから、思い出したようにおだやかに鳴く。ときには、夕刻、ヒグラシとともに。

それも徐々に少なくなる。これが今季、最後かもしれない。そんな寂しさを、声を聞くたびに感じるようになる。

朝日が部屋に差し込む時間もだいぶ遅くなった。彼が歌い始めた。録音機を引っ張り出す。8月15日。


最後のさえずり。

いまは、南への旅立ちに向けて、一息ついているというところだろうか。やがて、どんな旅をしていくのだろう。








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2019年08月07日

カワウの声だったのか?

2011年8月下旬に、千葉県盤洲干潟を訪れ、渡ってきているシギやチドリの声を録音した。
この干潟の手前には草原があり、なかに生える数本の木にカワウが集まって営巣していた。

長靴を履いて干潟に入り、遠くいるキアシシギなどの声を録音していると、背後のコロニーでカワウが盛んに鳴きあっていて、気になってしょうがなくなる。
しかし地形上あまり距離が詰められないので、芳しいデータにはならなかった。

このときの音源を再確認する作業を進めていたところ、ある声が心に引っかかった。
栃木県の北部を流れる中規模河川の河原で放置録音して得た「4月2日 キロロ、キョロ、キョロロ(オオコノハズク?)」(拙サイト「魑魅魍魎の音」より)に似ている。

その声質はムササビやオオコノハズクが出すとされている、キロロ系の「謎声」によく似ている。その河原はいちめん草原であり、録音機材を設置したのは数本のヤナギ類の木の下だった。オオコノハズクは割合、適応能力がある鳥のようなので、夜間に近くの林から飛来していた可能性もあるのかな、とは思っていた。

しかし、この音を聞いて、違う可能性について気付かされた。

盤州干潟のカワウのコロニーでの録音の一部
ソニー PCM-D50 + ローランド CS-10EM / バイノーラル録音
サンプリング周波数48kHz/量子化16bit/無指向性 を ビットレート96kbps/サンプリング周波数44.1kHz/モノラル に変換。


謎声を録音した栃木県の河川は鮎釣りが盛んで、カワウは害鳥扱いとなっている。カワウは近年、頓に警戒心が強くなっていて、近くで声を聞く機会も減っている。以前は数十メートル先の電柱に止まっているところの声なども録音できたほどだ。
個人的にはコロニーのある場所への観察にも最近行ってないので、自力で検証するのが少々難しい。そこでいくつかの音源を確認してみた。野鳥研究組織がウェブで出している音声に、若干似ている声が含まれているようにも聞き取れる。

それらから類推するに、件の「謎声」は、ひと気のなくなった河原の傍ら、あるいはヤナギ類の木にカワウが舞い降りたときに発した声、ということも考えられるようだ。

放置録音をすると 距離を隔ててしまう通常の観察では聞くことができない声がたびたび収録され、困惑させられることが少なくない。何かしらの疑問、発見は、メモなどに書き記して整理しているものの、一個人の「脳みそとそれをサポートしてくれるPC」レベルで記憶、認知、整理するのは難しい。今回のような、ほかの環境での録音を聞き直して気づくという工程は、以前、センダイムシクイやカイツブリでできたことがあるが、実際は、まだまだできていない。





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