2018年10月17日

ブナの実に集まる鳥を見に、声を聴きに。

記憶のなかのあの場所は人が多そうだから、そして雑音も多そうだから、ここ数年で見つけた、あの斜面の森に行くことにしよう。

沢をまたぐカーブで下の斜面から、なにやら視線を感じる。双眼鏡で確認するとカモシカの幼獣。
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サワグルミ

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サラサドウダン

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コミネカエデ

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オオカメノキ

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ニホンジカがブナの幹に角を当てた跡。

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肝心のブナは、今年、実をつけなかったようだ。

しかし、ヤマブドウ、イヌザンショウなどの生える一角に、冬鳥のシロハラの姿があった。いままで、ズミ、ナナカマドの実を食べに来ている姿に出会うことがあったが、それらのなかで二番目に早い。清棲図鑑でも、燕岳において10月14日の観察記録がある。
マヒワの群れと9月下旬に出会ったこともあった。冬鳥とはいえ、山地へは秋の早い段階から飛来を始めているようだ。
この地域でかつて盛んだったカスミ網猟のピークも、この時期だったと、モノの本で読んだことがある。



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2018年10月10日

稜線にいる鳥の声を録りたい。

今後の参考に、下見をかねて紅葉の山を目指す。
この山塊は、アプローチの仕方が複数あり、それぞれまったく違う表情を楽しむことができる。

序盤はシラカバ、ミズナラの林。

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ミズナラ

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コシアブラ

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ブナ

稜線に出ると小学生の団体とすれ違う。
東面からの風に吹き上げられてくる霧が晴れる。
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「ここを歩いてきたんだね〜」という歓声が聞こえる。

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稜線上はナナカマド街道と言っていいだろう。実が落ちる前に来ていれば、ウソなどの鳥との出会いもあったかもしれない。

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ハイマツが這い松たる所以。強風で根がさらされて、風下へと成長を続けている。ハイマツの成長は非常に時間がかかるので、これだけの移動でも数百年規模の時間がかかっているのではないだろうか。
そして笹薮にもハイマツが生えている。夏に来ればカヤクグリと出会えそうだ。


この山塊は、針葉樹林帯がなくて、いきなりハイマツ帯になってしまう、という文章をどこかの解説板で読んでいたが、南斜面に降りていくと、コメツガが目立つようになる。
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盆栽やオブジェのようだ。

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休憩ついでに、スワロフスキーの双眼鏡をパシャリ。

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休眠に入ったオオカメノキ。

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立派にそだったダケカンバ。

さらに標高を下げると、アスナロ、ネズコなども生えている。日光よりやや標高が低い。地面には幼木も多数。ニホンジカが激増する前の日光で親しんだ風景だ。もはや懐かしさを感じる。

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台風で落としたのだろうか。アスナロの落ち葉が金色に輝く。

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斜面がササに覆われている。ここも夏に来れば、コルリがかまびすしく鳴いているはずだ。

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リョウブ

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オオカメノキ

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ミネカエデ

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ズミ

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サラサドウダン。南斜面はツツジの仲間が多かった。春に来ればそれも楽しそう。





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2018年09月26日

初秋の声、光。

昨年のこの時期、河原に集まるニュウナイスズメを見つけた。スズメに比べて、軽やかな声で鳴きあうようすが印象的だった。

しかし今年はまだ、小さな群れが牧草地の実をついばんでいるだけだった。鳴き声もしていない。

稲刈りの時期などによって集散が変わってしまうのだろうか。鳥との出会いは、方程式が単純には成立しない。

耳はそばだてたまま、目は地面へと。
秋は色、光、影、いずれも情緒的な気分を誘う。

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ミヤマアカネ。

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ウドの花と実。

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フユノハナワラビの新芽。この草は冬枯れの寒い地面に生える。初秋にして、すでに、来たる冬への気配を感じさせられる。





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2018年08月20日

ニホンジカの県北部への分布拡大を憂う。

久しぶりに、こういう森に出会った。ミズナラ、シラカバの林床にササが生い茂っている
もう少し早く来ていれば、ささやぶの中からコルリやウグイスの声が、かまびすしく聞こえてきたことだろう。日光市の隣の山塊の東面、県北部にあたるのだろうか。
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腰より上まで茂ったささやぶは、例えば、中禅寺湖畔千手が浜にも広がっていた。今や見る影もない。

すでに、ここもところどころ、ニホンジカの気配を感じる。
ササの茎の頂部の葉が食いちぎられている。
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幼木の葉にも食べられた跡が見受けられる。
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植林地に近いエリアはやはり、ササが失われている。
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リョウブの樹皮が食べられている。すでに実がついていたので、食べられたのは最近だろう。すぐそばに足跡も残っていた。
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ここにも牛の放牧場があり、日光と条件がよく似ている。

今夏、沼っ原湿原を歩いたときも、驚かされた。湿原内の幼木にニホンジカの食痕が多くみられた。湿地部分には足跡が多数。そして、なにより、草地の植物相が単調になっている。ニッコウキスゲの花は今年、ほとんど見られなかったようだ。

那須山塊の裾野の某集落でも、有害獣駆除にあたるハンターさんに出会った。こんなところにもいるのかと驚いた。ニホンジカ、ニホンザル、イノシシが確実に分布を広げているようだ。

外来種と違って、ニホンジカはもともといた動物である。この大型の哺乳類が、生態系のなかでどういう位置を担っていたのか私にはわからない。今回見た山塊の状態が、あるいは、微妙なバランスを保ちつつ、長らく続いてきたそれに近いものということか。現在の日光山塊で見ると、狩猟、有害駆除を含めた自然界での淘汰より、ニホンジカの増殖力のほうがはるかに上回っている。近世以降の記録について簡単に目を通してみても、オオカミがいた状態でさえ、その増殖力を抑え込むことがたいへんだったことがわかる。

この山塊は西部から中部にかけて、すでにヤマビルの分布が広がっているようだ。ニホンジカやイノシシやニホンザルが媒介しているのだろう。あまり声高にいわれていないが、やがては観光業、レジャー業には大きく影響していくことだろう。
私は単純に、コルリがかまびすしく鳴くささやぶが、恋しい。専門の方々、どうぞよろしく。

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2018年08月11日

ヒガラの地鳴きの特徴的な部分を拾ってみる

声紋がいろいろな形で現れるさえずりに比べて、地鳴きはある程度、傾向をつかむことができそうだ。聞き取りやすいチイという鳴き声を中心に、それらの音源を整理してみた。


■チイという声
並べて音を再生してみると、若干、声の強度に違いがあり、声紋上にも表れているように、最終的な音程の部分「イ」音が強調される場合もある。また、やや弱々しく低く出す場合もある。逆に、声紋の形状はそのままで2kHzくらい高い音を出すこともあるようだ。まだはっきり検証してないが、メジロの出す、よく似たチイという声は、声紋では少し波を打って表示されるように見受ける。
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■ツイという声
チイという声と合わせて、それより高域でかぎ状の声紋がよく見られる。文字にするとツイと表現できる。鳴きあいの信号に用いる声のようだ。どういう意味で語らっているかは、やはり今後、気にして観察していかなくてはならない。
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■ツツツという声
シジュウカラ、ヤマガラは、「シシシ」と、高い音域で短く声を連ねる鳴き方をする。それぞれ声紋は異なって現れるので、おおよそ個別に認識できる。ヒガラの場合は、高音域で多様な音を出していたり、コガラ、キクイタダキなど同様に高音で鳴く鳥と混群になっていることが多いので、特徴的な部分がわかりにくい。なんとなく拾い出したのは以下の鳴き方で、シジュウカラ、ヤマガラと違い、声紋が凸型に現れる音がある。実際は、キセキレイの出す「シシシ」の声に似ている感じがする。
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さえずり、地鳴きの規則性、多様性をほかのカラの仲間と比較してみると、ヒガラのさえずりは、個性を主張するために複雑になっていることがうかがえる。シジュウカラ、ヤマガラなどは、見晴らしのいいところに出て鳴くことがあるが、ヒガラは込み入った木立の向こうやそのなかで移動しながら鳴いていることが多い。シジュウカラは雌雄で胸の黒い帯の太さが異なり、それをディスプレイ時にも用いるらしいが、ヒガラは雌雄同色である点からしても、より、声をコミュニケーションの道具として深く活用しているということではないだろうか。






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