2017年10月03日

季節の移ろい。

昨冬来、見続けている河川敷のフィールド。

ホオアカ、オオヨシキリは穂先にそっと出てくるだけになり、やがて姿も消してしまった。

ニュウナイスズメの群れがやってきて、軽やかな声で鳴きあっている。

いっとき、大きかったカワラヒワの群れも、小さくなった。
ノビタキ、トケン、シギの仲間などが立ち寄っていった。

ヒヨドリやイワツバメの群れも通り過ぎていった。

訪れるたびに、出会う鳥、出会い方が変わっていく。

日没のヨシ原にクイナの声が響く。すでに北から帰ってきたようだ。


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朝日を浴びて草原が金色に輝く。

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最近、由緒ただしい藪を見ると妙に安心する。

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淡いピンクがかわいらしいミゾハギ。

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日が昇り、体を温めるアマガエル。慌てて出てきたのか、まだ保護色に変身できてない。

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ヤマハギが小さな実を結び始めた。冬鳥の食事の準備を進めてくれている。



posted by t at 00:00| 録音行

2017年08月10日

日光地域のセミ分布の変化

確か、まだソニーのPCMデジタル録音機系をもってなかったときなので、かれこれ10年以上前になっていると思う。この時期になり、鳥のさえずりは少なくなってしまうので、セミの声や水音などを録るようになっていた。そのころ、毎度の録音フィールドだった場所では、ヒグラシがよく鳴いていた。日光山地のすそ野部分、標高は760mほどの場所だった。アブラゼミ、ミンミンゼミは鳴いていなくて、それらの声は、標高を100mほど下げないと聞くことができなかった。自動車の窓を下ろしたまま坂を下って、そのことについて実際に聞いて教わった。
このわずかな標高差のうちに、平地性のセミにとってのなにかしらの境界があって、生き物の適応性、すみわけが生じていることを面白く感じていた。
その後、日光山地の各所へ録音のためにしつこく通うようになって、たしか2000年一桁代の中盤から後半にかけてのころだと思うが、中禅寺湖畔でミンミンゼミの声を聴いて、驚かされたことがあった。山すその700m付近に、すでに生息限界があったのに、それを飛び越えて標高1200mほどの場所にいたのだ。このころ、地球温暖化問題が多く取りざたされていたので、その現象のひとつなのだろうかと思っていた。あるいは、北海道の、とある温泉地にミンミンゼミが限定的に生息しているように、一帯にもなにか温かい要素があるのかもと思って面白く感じていた。
しかし、そんなのんきなことは言っていられない。2015年には、奥日光三ッ岳の斜面でミンミンゼミの鳴き声を聞くことになった。標高は1500mほどもある。この年は、中禅寺湖西岸にあたる千手が浜でアブラゼミの声も聴いた。やはり標高は1200mほどある。さらに、湯元温泉でもアブラゼミが鳴いていた。標高は1600mもある。
この前後の年には、ヒグラシやエゾゼミしか鳴いていなかった山すそ地域でも、ミンミンゼミ、アブラゼミの声が聴かれるようになっていた。ミンミンゼミにいたっては、9月の下旬になっても鳴いていた。今年ももちろん鳴いている。この地域に限っていうならば、生息限界を100m高くしたことになる。
これらはいったいなにを意味しているのだろうか。
山すそ地域から町のなかに出ていくと、体感温度は一気にあがる。これは標高差だけでなく、アスファルトやコンクリートの蓄熱、輻射の作用によるものだと感じている。山すそ地域でも、アスファルトの上に出ると温度がやはり違う。
山すそ地域でいうならば、地球規模の温暖化によるものなのか、日光市街地での小規模でのヒートアイランド現象が発生しているのか。
あるいは、シカの増加によって林床の植生が変わって、地面が露出することによって地面の乾燥化、あるいは蓄熱、輻射効果の変化が起こっている、というようなことも考えられるような気がする。
しかし、奥日光でのミンミンゼミ、アブラゼミの出現はどう考えればいいのだろう。やはり地球温暖化の影響なのだろうか。シカ増加による地表の変化なのだろうか。奥日光の昨今の賑わいを見ると、あるいは自動車の通行量増加による熱量の変化なども考えられるのかもしれない。
音風景がまたひとつ変わっていく。


posted by t at 19:23| 日光

2017年06月26日

ツバメのねぐら。

過去の自分の録音に励まされた。
放置録音に甘んじず、夜駆け朝撃ちを繰り返していた。
あの感覚を取り戻すべく。

前日に放置録音を仕込んだ、広大な河川敷で、自分の耳で実際の音の状況を確認しておくのもひとつかと思ったが、今年見つけた小流のヨシ原で夜明けを迎えることにした。

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土手を上がる。目の前でツバメの声がする。暗くてわからないが、声が移動しないので、おそらくヨシ原のなかで鳴き続けている。


夏の盛りを過ぎるころ、大きなヨシ原へ通い続け、ツバメのねぐらでの鳴き声を録音しようといろいろ挑戦したことがある。

数千羽、いや万単位の群れに出会うことができるものの、あまり強く声を出さないので、芳しいデータを得られていなかった。

そもそも、飛び交うときは短くチュビと鳴くが、ねぐらに入ってしまうと鳴かなくなってしまう。


この前の週は、巣立ちの家族群が夕方飛び交うようすを見ていたので、おそらくそれらがねぐらに降りた状態なのだろう。

しかしなぜ、晩夏のころと違い、このように盛んに鳴き続けるのか。

突然土手に現れた自分に対し、親鳥が警戒の意味で鳴き始めたのではないだろうか。時期からいって、まだ幼鳥と行動を共にしていて、「へんな奴がいるから注意しよう」という号令なのだと思う。

手元の感じもうっすら見えるようになると、もう一羽も鳴くようになった。

家族群のようすを想像しつつ鳴き声を翻訳してみると、雄「こんな暗いときにへんな人間が来た。しばらく様子を見ような」。雌「まだあの人間がいる。しつこいわねえ。早くどこかにいかないかしら」。

そんな感じだろうか。

大群のねぐらの夜明けも見たことがあるが、そのときは薄暗いときから三々五々、ねぐらを飛び出していた。今回は、薄明を迎えても、ヨシ原のなかにいたままだった。

あの鳴き声の元には、今年巣立った幼鳥たちがいる。

前日、子を残して夭折したひとのニュースに接した。人間も鳥も、次代の子を思う気持ちは、本能として根源的には変わらないのかもしれない。

そう思うと、せつない。


posted by t at 20:44| 録音行

2017年06月21日

同一水系のふたつの川を歩く

今年のテーマは、すっかり、河川敷探訪、その環境、状態の比較となっている。

「通い続けた川」の支流へ。
車を降りると、オオヨシキリの鳴き声が聞こえる。土手を上がってみると目の前にヨシ原が広がっている。
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個別の声が判別できないほどの鳴きあいになっている。

南関東で慣れ親しんだ風景だ。河畔の丘陵地や河岸段丘の林の上を、オオタカ、ハヤブサが舞う。土手をイタチが横切る。吹き抜ける風が涼しく、気持ちいい。

上流のダムで水量も制限されているので、川が浅く、釣りや工事など人の手も入っていないようだ。
人の気配は少ないし、ゴミも少ない。

放置録音機材を持ってこなかったので出直すことにした。

この支流の印象がよかったので、出直すついでに、近くの「通い続けた川」下流域も見てみることにする。

車を降りて土手にあがる。ここもいい眺めが広がっている。
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河川敷に通された小径を行く。おそらく釣りに入る車がつけた轍なのだろう。

いろいろな生き物を見つける。楽しい。
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金色で美しい。ハラビロトンボ。

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キマダラセセリ。

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産卵中のキバネツノトンボ。草原を象徴する昆虫。

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これは河原を象徴する花。ミヤコグサ。

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富栄養化した川を象徴した水生昆虫。ヒゲナガカワトビケラ(の一種?)。

ホオアカもやはりいる。

土手に沿って、背丈の低い草が生えている。小径の左右で草の生え方が違う。草の種類、地面のようすからして自然な遷移過程にあるのではなく、工事のあとのような感じがしていた。しかし、草の株の根本を見ると、焼けた跡もある。野焼きも行われる場所のようだ。工事が入ったが、野焼きの習慣もある場所なのだろうと思っていた。
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土手にあがり、ほかに河川敷に降りられる場所を探す。
しばらく行くと、生き物を紹介した看板を見つけた。
どうやら、大学の研究機関、地元団体などが保全活動をしている区画のようだ。

歩いていて感じた不自然さについて納得がいく。
焼き払いの行われていた河原の状態を再現しているのだろう。地方都市に近いこのあたりでは、人の手で強制的に管理しないと、このような環境を保つことができないはずだ。

河原に目をやると、アユ釣りのひとたちが複数。川面の近くまで車で乗り入れている人もいる。

そのような様子を見ていると、カワアイサの群れが逃げていく。この時期まで残っているというのは珍しい。

いい加減なところで折り返してくると、カワアイサが元の場所に戻っている。冬、雄は胸のあたりがピンク色を帯びて美しいが、それがこの時期にどうなっているのか、見てみるつもりで双眼鏡をのぞくと、左端の雌のようすがおかしい。翼を傷めているようだ。
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飛べない雌を残して旅立つことができなかったということなのだろうか。あるいは家族群なのか。それだけ結束の強い鳥ということなのだろうか。

これはおそらく、先日見た、キンクロハジロと同じ理由で翼を傷めているのだろう。カワウを川面に降りさせないようするため、漁協が張った細いラインに翼をぶつけるなり、絡めてしまうなりしてしまったのだと思う。カワアイサは食性、警戒心の強さからして、ほかのカモのように水田などには移動しない。池や川などの広い水面にしかいない。それから類推できるのは、川で起こりうる事故だ。潜水型カモは離水するときにカワウ同様、川面を助走しなければならない。川に低く張られた糸は避けられないのではないだろうか。

先に回った支流は、利水以外の経済的価値が少ないので、ほとんど手が付けられていない。かたや、けがをしたカワアイサのいる本流は、面積、水量などの点で比較にならないほどなので、治水、利水、釣り、狩猟、漁猟、その他レジャーなど経済的価値に翻弄されている。

河川は、例えばある区間について、土手から水面まで含めて河川敷一帯を強い保全規制で守ることはできないのだろうかと最近思う。どの場所も人の手が入ってしまい、いっけんいい環境でも、生き物たちにとって安住の地ではない。日没から夜明けまでの放置録音を繰り返すにつれ、生き物たちは、人間のいなくなる夜間に活動していることを思い知らされる。

奥日光戦場ヶ原がいい例としてわかりやすいが、川は、水面は水産庁、水際まで国交省、(国立公園内の奥日光の場合、環境省)という行政の縦割りのせいで、それはできない。戦場ヶ原は、歩行者は湿地に降りてはだめだが、釣り人は川面にたどりつくために湿地に降りることが許されてしまう。

対照的に、林野は一元的に強い規制をかけることができる。その考え方が河川敷にも応用できないのだろうか。この地で見てきたことを踏まえ、考えをまとめてみたいと思う。

posted by t at 13:53| 録音行

2017年05月30日

録音機の進化と信じたい。

タスカムDR07は音質がクリアでいい機種なのだが、やはりタイマー機能のある録音機がもう一台ほしくなり、中古市場にヤマハW24が出回らないかチェックしていた。

その作業のなかで、同機種はサンヨーからのOEMだったことがわかった。その元機種も判明。W24と並行して、ICR-PS1000Mというサンヨー製品のほうも探すことにした。

某中古取引サイトで、見つけ、入手。

前所有者は録音データを消し忘れていて、それを内蔵スピーカーで再生してみると、なにやらノイズが混じっている。

いやな予感を抱きつつ、自身でも試し録りしたデータを声紋解析ソフトで開いてみた。

約500Hzごとにみごとにノイズが発生している。

この手の症状は、ハンディ録音機の宿命のようで、過去に所有したマランツPMD660やローランドR09で同じ経験をしている。

マランツは丁寧な修理対応をしてくださったが、ローランドは商品にもとからある現象なので修理できないという回答で、そうそうに手放したことがある。

サンヨーを買収したパナソニックはどういう判断をされているのか、パナソニックに問い合わせをしてみた。ローランドのように、本症状を認識しているわけではなかったので、それならば、と修理に出した。ところが、症状は故障と認識したが、交換パーツがすでにないので修理対応できないとのことだった。

並行してインターネット上で同症状を把握している人はいなかったのか探してみると、某AV機器系評論家が音源を出していてくれている。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080428/dal324.htm

音源を声紋表示させてみると、やはり同様の症状を帯びている。ということは、故障ではない。商品がそもそも帯びている固有の症状だ。

W24との違いは、サンヨー製品は音声で操作のガイダンスをすること、指紋認証で機能ロックを解除させること、そのセンサー部をポインターとして使用できるなど。機能を複雑にした分、これらの操作に関係する部品がノイズを発生させているようだ。

これで商品としては高音質をうたっていた。機種としてもフラッグシップモデルだったという。対するヤマハとしては、楽器メーカーとして、この音質は許せなかったに違いない。

いっぽう先立って入手したタスカム新製品はというと、評判は音質に対しては高評価がつけられているようだ。それは声紋を表示させてみても納得できる。バックグラウンドノイズがとても小さい。そもそもマイクゲインが低く、低音域を強調する、マイクの指向性を強める、などのマジックもありそうな気がするが、高音質をうたうなら、これくらいの性能を発揮してほしい。


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タスカムDR-07の録音データの声紋表示。バックグラウンド・ノイズが少ない。

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ヤマハポケットラックW24の録音データの声紋表示。バックグラウンド・ノイズの拾い方は自然な感じ。

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そしてサンヨーICR-PS1000Mの録音データの声紋表示。メカニカル・ノイズが縞模様に入っている。



posted by t at 20:58| 録音グッズ